私はショートステイの相談員ですから、虐待ケースに関わる事も少なくありません。今回はそんな虐待についてのお話です。
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ショートステイの特性上、高齢者虐待による高齢者を受け入れる事がある。役所や地域包括支援センターとの関わりを通して、虐待事例の難しさがよくわかる。関わった人はよくわかるはず。虐待は一筋縄では解決しない。
— けんでぃーびすた (@kendyvista) 2019年6月8日
子供の虐待、老人の虐待、ニュースで見ない日が無いのではないでしょうか。
「どうして児童相談所はもっと早く自宅訪問しなかったのか」等、もっと上手くアプローチしていれば、亡くならなかったかもしれないと皆嘆きます。
確かにそうです。誰かが虐待の事実に気が付き、然るべき機関に報告し、虐待者と被虐待者を引き離せば良いのです…その時は。
一時的に虐待から本人を守るためには、虐待者と引き離す事で解決します。しかし、一生別々の所で暮らす事が正しい事なのでしょうか。
少し児童虐待に寄った話になってしまいましたが、私の専門は老人ですので老人虐待に話を移します。
自宅虐待を受けている事が発覚し、ショートステイに緊急ショートの依頼が入る事があります。原因は主介護者の身体的虐待もあればネグレクトもあります。家を追い出されて変える所が無いと言う場合もあります。
本来ショートステイを利用するには、利用前に契約を交わす必要があるのですが、緊急ショートの場合は後回しになります。大概が、夕方の依頼になるので辛い所ですが(午前中に本人または地域包括支援センター等からの報告で動き出す事が多いからでしょうか、本当に夕方からの依頼が8割です)、少ない情報の中で受け入れを行います。
しかし、基本的に本人や家族の同意無しに施設利用は出来ません。ですので同意を得られずに緊急入所の手続きを進めていた所、突然キャンセルになる事も少なくありません。
「虐待なら同意など必要ないのでは?」と思われがちですが、施設利用には施設利用契約書、重要事項にサインしてもらわなければなりません。同意がなければ利用は出来ません。施設としては利用料金の支払いが滞ってしまっても困るわけです。虐待ケースと言えど、居室料もかかりますし食事料も必要です。決して慈善事業ではありませんから。
※ただし、やむを得ない事情による措置入所に(いわゆるやむ措置)、同意なしに利用が決定される事もあります。やむを得ない事情についてはググっていただければと思います。
しかし、利用初日は比較的落ち着いて過ごせる利用者ですが、翌日辺りからいわゆる帰宅願望が出てくる事が多く、それは日に日に強くなります。認知症である、なしに関わらず、虐待を受けている主介護者がいる家に帰りたくなるのです。
さらに、虐待を行っていた主介護者から「反省しているから帰ってきて欲しい」風なコメント」が寄せられる場合もあります。
一般的に虐待を行っている主介護者はその人の事が憎くて憎くて仕方がないという人はいません。いや、結果的に憎いからこそ虐待に至っているわけですが、本来は嫌いなわけではないけれど、現在の生活環境や本人の認知症状等から、その様な結果になってしまう事が大半なのです。
※もちろん、細かい事情は各家庭様々で、ここでささっと書ける程簡単なものではありません。
虐待はその元凶から引き離せばそれで終わりかと思われがちですが、実はそうではありません。それは緊急的に、一時的に行われるだけなのです。
なぜなら、引き離した二人は再び求め合うのです。これは親族であれば当然なのかもしれません。様々な思いが交錯し、虐待という結果になってしまっているにも関わらずです。
一時的に、分離させたとしても、それからどうするのか。これは本当に難しい話です。
虐待は単純な問題では無いのです。
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